第526回 田辺寄席 10年 3月21日(日) 昼席 午後1時10分開演 《新・じっくりたっぷりの会-笑福亭円笑の段》
桂文太 開口0番 のぞき絡繰
そういえば落語には「のぞき絡繰」がでてくるお話があります。
くっしゃみ講釈には八百屋お七と、そして天王寺参りには、ほととぎすです。
そしてこの二本は、芝居物と文学物に属しているそうで、他にも伝記物や時事物があるとの事。文太さんのみごとな分類です。しかも節回しがまったく違う事に着目されているとは、さすがです。
笑福亭喬助 みかん屋
なんとほのぼのとした雰囲気をもってる喬助さん。そしてなんとなく癒しキャラ。
言葉に詰まっても、噛んじゃっても気にしない、その雰囲気は天性なのでしょう。
笑福亭 円笑 亀佐
上方落語協会唯一の江戸前の噺家さんとのこと。落語の舞台となっている時代背景は現代とあまりに違いすぎ、言葉はもちろん、今はお目にかかることが稀なお仕事さえあります。
伊吹山名産もぐさを売り歩く方は壊滅だし、お灸をすえてくれる所も珍しくなりました。
話の方も、灸で有名なお話の強情灸をはしょって行きながら、本来のストーリーに入られました。これは少しでも背景を理解させる苦肉の策なのでしょう。
どうやら事前に文太さんより、「珍しい話をしてください」と言われたそうで、この話は桂米朝さんと円笑さんのお二人だけのネタだそう。「なぜ、米朝師匠は亀佐をしないんですか?」と尋ねたらたった一言「あれ、おもろないがな」と言われたネタ。たしかに単語がわからない上にくすぐるヵ所も少ないのであればこの先、聞くことができない珍しい話なのでしょう。
桂文太 厩火事
日本の話芸で江戸前の噺家さんのを聞いたことがあります、たしか歌丸さんだったかも。
孔子の愛馬の件や嫁よりも瀬戸物を大事にするお話の箇所や、実際に髪結いの奥さんが
旦那の前で大事な皿をもってうろうろするところが、目の前に情景が広がりました。
笑福亭瓶吾 相撲場風景
なんて読むのかな?どうやらびんごさんだとのこと。初めて聞かせていただきました。
淡々といろんな情景を面白く話す、わりとマイペースな話に仕上がってました。
にぎりめしや一升瓶のシーンが以外と受けず、私は初めてでしたが母は松鶴さんの相撲場風景を聞いた記憶があるそうで、どうしても比較してしまうようでした。
笑福亭 円笑 お直し
初めて聞いたネタ。吉原遊郭を舞台とした艶話。「中引け」「大引け」の言葉も「お直し」「蹴転(けころ)」等まったく聞く事はありません。
話しは中々難しかったようですがなんとか着いてけました。
感心したのですが、江戸前の方は「ひ」が「し」になっちゃうんですね。なんか感動しちゃいました。
円笑さんは猿笑さんだったのを改名されたとのこと。松鶴一門直系。ぜひまた円笑 さんの高座を聞かせていただきたいっておもっています。
田辺寄席が終わり客引けの間中ずっと出口のところで「ありがとうございました」とお辞儀をされていた姿がすごく美しかったです。