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2010/10/31

2010 10/31 高杉晋作立志像建立記念講演会 ~立志像ができるまで

午前中に開催された除幕式に続き、会場を変え萩博物館の講演会室にて銅像を製作いただいた江里敏明先生と一坂太郎先生の記念講演会が開催されました。

江里先生は通常公開を行わない銅像の製作工程を全て写真に映されており、今回の講演会ではその写真を元に解説をいただきました。
江里先生と、この萩の関わりは、6年前に開府400年記念で毛利像を作成したことに始まります。

さて、今回の高杉晋作像は、ポートレート等で有名な散切り頭ではなく、月代、ちょんまげ頭に紋付、袴に刀を携えた像で、これは20代前後をイメージされており、昼間は明倫館へ、そして夜には松下村塾へ通う若かりし高杉新作さんです。

【工程】
2009年6月に依頼があり、打ち合わせの後、イメージ膨らませてスタンド付の針金の芯が完成したのが2010年1月~2月。
そして2月末より粘土で肉付けをしていかれますが、このときの高杉さんはなんと裸像。
その肉体美は現代の男性の筋肉美に大差ありません。
この時点で粘土の重さは400キロ!そして次の工程ではこの裸像に草鞋や袴を付けていかれると同時に随所に芯柱を入れられます。
そして4月半ばにはようやく刀を持たせ、羽織を着せてゆかれます。

さてこの段階で当初の完成形のイメージが具現化されるわけですが、先生曰くなにかが足らない・・との事。

なにか力強さが足らないということで、江里先生のされたことは、なんと上半身をつぶして一から再作成。
このお話の瞬間、会場から一斉に「え~~?」という大きな驚きの声が聞こえました。
その後、首の位置を後ろにずらせ、胸を張った姿にされ、これでようやく今回の形となったわけですが時はすでに8月22日。

全体に石膏をまんべんなく振りかけては麻を貼り、石膏が1センチの厚みになるまで延々と続けられます。
次に石膏のそれぞれの端に打ち込んだ鋲から順にパーツごとに切りわけて、パカッと取り出して中の粘土をはずします。
そのはずした石膏の中面にはポリエステル樹脂を塗り、FRPを貼ってゆきます。そして元通り組み立てて石膏を割ることで原型がようやく完成となります。

鋳造所へ運び、その原型の上に覆いかぶさるような型を作成し、銅を流し込む4箇所の穴から一斉に銅を流し込みます。
実は純粋な銅ではなく、銅が90%、錫5%、亜鉛・・などの内緒の配合比とのこと。
冷えて固まったら原型を叩き出す作業でこれが細部にいたるまでの非常に緻密な作業でした。
さて、ようやく完成したら最後は硝酸を吹くことで緑錆を発生させることでようやくホントの完成となります。
この480キロの銅像は台座に2本のボルトで留められています。

最後に、先生より銅像の大半は触ってはダメと言われているが、本当はみんなが触ったほうがキレイに、そして好い風合いが出るといわれてお話は終了いたしました。

この萩博物館には銅像制作時点で型として残ったFRPの像が展示されています。せっかくなのでその前で先生と記念撮影させていただきました。
本当にありがとうございました。