落語ミュージアムでの落語会は今回で2回目。
前回通り、この会場はハード面では素晴らしいし、町おこしとしてのアイデアとしても申し分ない。
しかしそんなハードを生かすも殺すもソフト次第。
はたしてこのままでいいのかどうか?やはり疑問が残る。
主催者は気がついていなくとも、お客様は敏感に察知しているはず。
そんな思いと正反対に出演者の方々の実力は、この落語が盛んな池田の町では
浸透しておるとみえて、超大入り満員!
なっとくの落語会となりました。
笑福亭 たま 矢橋船
ひょっとしてたまさんの古典ネタで楽しませていただくのは初めてかもしれません。
マクラは海老蔵さんネタ。実はたまさんのBLOGが大好きで、今日のマクラの原案のようなのが書かれていたことから、おもわず一人でニンマリ^^
噺家の方って観察力がするどいんでしょうねー。
わたしのライブラリーでは桂米朝さんの音源があるので聴き込んでいたネタだけに
自分なりに色々と対比が出来ましたが、たまさんらしい若さと情熱のあるお話に仕上がっていました。
話の流れは色問答を経て、燗徳利からイケナイのを飲んでしまうところをヤマに2回繰り返し。
お武家さんも鳥かごも登場しないのでどう展開していくのか実は興味深々。
そのままの雰囲気を残しながら会場は大爆笑!そのままサゲとなりました。
印象的だったのが、比叡山の「ひぇ~!」の男が色問答に加わるキッカケの目つき。
これが繰り返しの面白さとなり、元々上下を切らないたまさんならではの、
目つきで会場に笑いが漏れていました。
(※)ちなみに矢橋船は「八橋舟雀丸之由来」だそう。
笑福亭 銀瓶 宿題
先日お引越しされたばかりの銀瓶さん。
尼崎とのことで、市長が変わったことを受け、阪急と阪神の比較の話で客席との距離感を縮められました。
たしかこの「宿題」は桂三枝さんの創作。まさによくできている話。
え?って考えてしまう問題を数回繰り返しそのたびに、宿題に色々ともんくをつける主人公。
この辺りは演者さん独自の部分が入っているのか銀ちゃんのベタベタな大阪弁が見事に調和しており会場に笑いを生んでいました。
桂 雀三郎 けんげしゃ茶屋
マクラは、楽屋内の悪戯のお話。
可愛そうなマジシャン、紙きり名人と故松鶴さんとのエピソードを紹介。
なによりも伝説となっている「焼肉食べ放題」でしょう。
独特の世界感をお持ちの雀三郎さん、きっちりと丁寧にお話を積み重ね、
お正月のお茶屋を風景を描き出されていました。
老舗の旦那さんが、新町に出入りできなくなったエピソードをはじめ、脳天の熊五郎とたくらんだ悪戯がお正月の茶屋の「けんげしさ」をぶち壊してゆくストーリーは悪戯好きも憎めない旦那さんの風格が伴う雀三郎さんにぴったりでした。
手元の所蔵書籍(※)で調べてみた。
この話に出てくる「のどかなる 林にかかる 松衛右門」という句は非常に古く、
延宝(1687-1681)上方板の「けらわらい」を江戸で改版。天和(1681-1684)~貞享(1684-1688)はじめの「けらけらわらい」に書かれているらしい。ひょっとしたら先日NHKでみた蔦屋重三郎さんが絡んでいるのかもしれない。
※ 参照 )S33発行上方落語の歴史 前田勇