この夏の終わりころからちょっと体調を崩し実は10月12日にお腹の一部分を切ってきました(笑)
で1週間ほどは自宅で療養ということでお仕事をしています。←あかんやんww
おかげで今まで買っていたのになかなか読めなかった本や気になる情報を整理することができました。ありがたいことです。
10月13日産経新聞に「消えた偉人物語」小学国語読本巻十【母の力】が掲載されていました。
これは昭和14年発行の小学国語読本巻十は今の小学5年生用の下巻にあたるそうでこの14課に【母の力】と題されている教材がある。
あらすじ的には下記の通り。
明治の政治家の井上馨(聞多)が暴漢に襲われ大怪我を負った。
全身に無数の刀傷。もう虫の息という状態でようやく自宅に担ぎ込まれた。
城下の医師は来たものの手をこまねいている。そこへ幸いやっていたのが美濃の国郷士の所郁太郎で、大阪の緒方洪庵の塾で外科手術の助手をしたことがある。
「よし。拙者が療治しよう」と刀の下緒を取って襷掛け。焼酎を薄く溶いて傷口を洗いながら端から縫いだした。
縫った針は畳針。五十幾針縫ったところで夜が明けた。
縫った所郁太郎は名医でもなんでもなく、助手をしたことがある程度だし、畳針と焼酎。
見舞いに来たものは、井上との今生の別れをして帰ってゆく。
「おお聞多。しっかりせい。敵は誰だ。何人いたか?」と兄に尋ねられても声がでない。
瀕死の重傷で意識も絶え絶えの中で、手真似で「介錯をしてくれ」。兄は涙ながらにうなずき、どうせ助からない弟の命。それなら一思いに死なせてやるのがせめてもの慈悲だ・・・と兄は刀を抜いた。
そこへ母のお勝が現れた。
「お前は何をしているのか?」答えない兄・・・「お前・・全体何をしているのか?」
刀の柄に手をかけ恐ろしい表情の兄は「聞多の苦しそうなこの様を見ましては、兄の情として、耐え難くいっそ一思いに刺し殺そうかと思いまして・・・」と答えた。
母は「私の眼の黒いうちは例えどんなことがあってもそういうことはさせませぬ。聞多は私の倅じゃ。天命がきて死ぬのなら拠所ないが現在の兄が手を掛けようとは何事か」と兄を叱った。
必ず、私の一心で助けて見せると、必死の母の看病で三日目には「水をくれろ」と言えるようになりなんとか一命をとりとめた。
全文を読んだことはないが、今年の4月に入手した原本となっている伊藤痴遊全集第7巻の<袖付橋の闇討ち>と<気丈な母の介抱>の部分にあたると思われる。
また、このエピソードは講談となっており、11月11日(日)に大阪の泰聖寺で行われる旭堂南左衛門一門会で旭南湖さんが「井上馨の袖付け橋の危難」を演じられます。
幕末大好きな方は是非お越しくださいませ。
http://www.chonmage.tv/schedule.htm