ラジオから流れてきたこのお寺の紹介情報を母が偶然聞いたらしく同行するコトとなりました。
当時は天王寺から関西本線に乗り、奈良~木津加茂と揺られるわけですが、奈良から加茂へ行く電車が数時間に1本程度しかなく大変だったと記憶しています。なによりも加茂駅から数時間をかけて徒歩でお詣りするのですから1日掛りの相当きつい行程の大変なハイキングです。
子供だった私は道中に喉が乾いて飲み物をおねだりします。「缶コーラのみたぃねん。350mlのやつ。缶でええねん。缶でええねん。」と繰り返す私に「よっしゃ。缶だけ買おたろ」という無粋な冗談を言う同行者に腹を立てた思いでがあります。
コカ・コーラの発売年代からす推察すると350ml缶は当時は70円でした。 そして、家族のみんながこのお寺にある【秘仏 吉祥天女像】にとてつもない魅力を感じ、レプリカやお写真購入し、そしてぞれからずっと我家の守り神として鎮座されています。
浄瑠璃寺のある当尾(とうの)にはたくさんの野仏様がいらっしゃいます。散策を繰り返すあまりに道に迷い、あたりは暗くなってくるし回りはたしか「地獄の辻」「千日墓地」(定かではありません)という場所でみんな恐怖につつまれたこともありました。
山門に咲く馬酔木の香りに包まれたことも、途中の竹やぶに生えてる筍を発見したこともみんな懐かしい思い出です。
今では自宅から車で1時間あまりでお寺の前の駐車場に到着してしまい情緒もありませんが、当時、私を連れて行ってくれた母と二人でそんな話をしながらのドライブは格別です。今でも年に何度かお詣りいたしますがせっかく参拝されるのでしたらこの【秘仏 吉祥天女像】に会える期間に参拝ください。 加茂駅の北側には「海住山寺」(かいじゅうせんじ)というお寺があり、どういういきさつであったかは覚えていないのですが一人旅に凝っていた私は中学生の時にこのお寺に泊めていただいた記憶があります。泊めていただく交渉の際、夕食は無いことを言われたのでお湯だけで結構ですと話た私は、当日、発売され話題になっていた日清カップライス(1970年:昭和45年発売)を食べたのを記憶しています。
さてこの浄瑠璃寺は九体寺ともいい、三重塔より池をはさみご本堂を拝むと、それは東より西を拝むこととなり西方浄土となります。このご本堂の柱と柱の間には九体の阿弥陀様がいらっしゃいます。
蛇足になりますが私が魅せられた仏様はこの【吉祥天女像】だけではありません。
ご本堂の中の739年に聖武天皇の勅願により行基の開基とされた当時の空気をも感じさせる時間がとまったような空気も魅力ですが、ぜひお顔をそっと覗いていただきたいのは不動明王三尊像でお不動さんの足元にいらっしゃる童子様のお姿です。
とても柔和なお顔をされている【こんがら童子】様と知恵の杖をお持ちになられている【せいたか童子】様です。
そっとお二人のお顔を見させていただくと何かつかめるかもしれません。 また1月の8日~10日にのみ、潅頂堂のご本尊で智挙印を結ばれている大日如来像様にお会いすることができます。
今年もまたお会いする事ができました。冬場にこのお寺のご本堂に上がりますと足先の感覚が無くなるくらいに冷えますので充分あったかくしてお参りくださいませ。